芸術家の死

2004年6月25日 読書
「腐りゆく」ものは何であるのか…まだちょっと不明。

最初は簡単に死体だ、と思ったんだが、そんなに単純ではないらしい。どうやら。(流石、夢枕氏と言うべきか)

おそよ芸術家と言うのは、観念の中に生きている生き物なので、長生きするのは難しいのだろうか。
純粋であればあるだけ、早く死にたがり。
今の命を手放したがるように見える。

明治や大正の頃、日本の文学檀に名を列ねていた〜そして国語の教科書などに出てきて我々がテストのためにその名前を覚えた、〜詩人や画家や小説家などは、非常に死にたがっていたように見える。

ふたりで心中

ひとりで自殺

俗世にまみれている凡人は、現世欲がつよいせいか、死にたがらない。
ただし、凡人が芸術性皆無、というわけではないだろう。
凡人も想像し、憧憬し、夢を見て望み、実現へと努力する。

ただその日を生きている動物とは違う。
ただその日を生きているだけの存在ならば、これもまた長くは生きられない。

凡人も夢を見るのだ。

一方に芸術家を吊り下げたうやじろべえ。
ちょうどそのバランスが取れたときに中央にいるのが平々凡々人である我々なのではないか。


頭蓋骨が土で満たされた、土葬の死体……だから、その死体は脳ではなく、詰まった土でその存在を考えている。
その表現が、妙に頭に残る物語である。

それはなんとなく、からからと乾いた感じがして、腐る死体なんぞより、はるかに好印象なのであった。
腐るのはいや。
生理的にいや。
やっぱりカタコンベより火葬が良い。
出なけりゃいっそミイラとか。
からからと……。

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