どっちも怪しのものである。

マ王さまは、順調にぼけと突っ込みに磨きをかけながら爆笑…否、爆走中である。
3巻ほども読み来たった頃には、どこかで息切れするんじゃなかろーかと心配もしたのだが、まったくそんな気配も無い。
おまけにだんだんシリアス面も覗かせて、旨い展開に思わずこの小説は"あたり"とほくそえんでしまった。
止らないトルコ行進曲……これは主人公ではなく、多分に作者のことを言っているのだろうと推察する。

「雪が降」ったところで、在庫が切れた。何分古本屋から調達してくるとのことで、苦情も言えぬ。
仕方が無いので、純正日本ものへ切り替える。

その弐は「飛天ノ巻」
晴明ですら救ってやれない(手の下しようの無い)小野小町と深草の少将のお話は、背筋が寒くなる。
山科区にある小町ゆかりの随心院には、小町の化粧井戸、というものが残っている。
こ汚いちっぽけな井戸(跡)ではあるが、この二人の物語はロマンティックな悲恋として語られる以外は、たいてい女のほうが酷い目にあうという結論の物語が多いのである。

99日通って死んじゃった少将の無念を、今に至るまで千年の長きに渉って、生き残った時代時代の男たちが肩代わりでもしてやっているつもりなのか。

それとも嘗てあの横溝正史がそういわれていたように、恋しい気持ちが募りすぎて、あるいは手ひどく"美人"に振られたのが生涯消えぬ痛手にでもなったのか、美しい女に対する激しい憎しみに変わってしまったのであろうか…

男という生き物もあわれなものである。

さて。
この陰陽師シリーズは、短編集なので、非常に読みやすい。
聞くところによると、作者の夢枕獏と言う人は、出来上がった本の活字の並びにまで気を回す人だそうで、"見た目"が読者に与える効果も計算しているのだという。

文字で妖怪の絵が……浮かんでくる、なんてこと、あるわけ無いか。

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