「アラビアの夜の種族」読了。
それなりのハッピーエンドだろうか。
最後の最後まで(あとがきを読むまで)私はこの本を創作だと思っていたが、あくまで"翻訳"だと作者の言。
それともこれも作者風の"創作"なのだろうか?
ついつい疑う気持ちにさせる、摩訶不思議な本であった。

そして、ちょうど良いタイミングで次の本が手に入った。

副題にスピリチュアルとある。
環境と、自然と、地球と、宇宙と仲良く暮らしてゆく。
人間は自然の一部でしかないのだから。
そういうこと。

疲れた人がヒーリングとかアロマとかに走るように、自然の中で心を癒そうとする、昔から連綿と続けられてきた"癒し"が、英国では人の"本能"になっている、ということ。

本編に面白い比喩がある。

幽霊に遭遇する。
 
?アメリカ人なら
  ⇒⇒気温・湿度を初めとするそのときのその場の状況を科学的に徹底的に調査する。

?英国人なら
  ⇒⇒「ラッキー!」と叫ぶ。

歴史的に裏打ちされた幽霊は(それは古いものほどいい)、とても価値のあるものとして英国では喜ばれるらしい。つまり、ロンドン塔で血のメアリに遭遇するとか。
タイバーン刑場で、著名な死刑囚の幽霊に遭遇するとか?

「その幽霊が出たがゆえに、その屋敷は間違いなく彼が最期を遂げた屋敷だ」、という証明になるのだという。
その論理には納得しないでもないが…。

そういう建物は「歴史的価値」を付与されて、通常よりもお高く売れちゃうらしいのだ。

日本では?式なんだろうね。残念だけれども。
だからヒーリングが、アロマが、カウンセリングが、どんどんどんどんもてはやされて、でもどんどんどんどん患者は増える一方で。
この本を読んでいくと、地面に自然に立脚していない現代日本人の哀しいところがありありと見えてきた。

あと、満月の夜は人はおかしくなっちゃうので車の事故が増えるとか、だから満月の夜にはコンサートなどのイベントは行わないのだとか。
そんなこんなの現代の英国の一件不可思議な非科学的なあれこれをエッセイ風に綴る本である。

日常生活において暗闇を捨ててきた近代日本は、日本人は、逆に心の中に、捨てた闇を蓄積してきたのではなかろうか。

ISBN:4479011668 単行本 井形 慶子 大和書房 2003/11 ¥1,575

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索