文字遊心をゆっくり読んでいるので(というか、ゆっくりしか読めないので)、目に付いた漢字を揚げてゆこうと思う。

まず、最初に「狂」をあげてみる。

狂と言う字は、その形からも分かるように、
「けものへん」である。

だから、獣によって正気を失う、「もののけ」の憑いた状態であると考えられた。

日本も、ヨーロッパもアメリカの原住民も、勿論アニミズム信仰だったから、獣が憑くと考えるのは、きわめて自然な成り行きである。
その一つが狐つきで、日本だけではなく、中国の古典にもよく出てくる話なのだ。
稲荷信仰はこの辺から来るものだ。

「狐狸の類」というぐらいだから狸もある。
日本では、他に犬やネコも入るらしい。

ついでに言うなら中国では、龍や虎・牛・羊・猿・猪・豚・雉・蛙・タニシ……まるで十二支のできそこないやんか。

しかし、龍や虎はまだええけど、豚や蛙やタニシはご免こうむりたいものがある。
この場合、憑くというよりは、化生するとか変化するとか、姿を変えて目の前に現れるという話がほとんどなのだが、異類婚物語だからと聞かされて、よかったと思うようなモノでもない。
つまり、そういうものと恋愛したいですか?ということ。

昔は加齢故の痴呆も、「憑いた」と思われていたそうな。そこまで長寿ではなかった時代だからねぇ。

そして、狂の対極は「聖」であるという。
また、狂と聖は、紙一重であるともいう。
何事かを成し遂げようと邁進すれば、それは狂にもなるようだ。

聖人と言われる孔子が、老残の身をもって戦国の諸国を巡り歩き、あくまで自説を曲げようとはしなかった姿に、「革命に命をかける狂者である」と説く。

狂にもいろいろある。

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