魔性の馬⇒⇒オクシタニア
2004年2月17日 読書
「魔性の馬」が読めてしまって、レンタル本最後になってしまった…面白くてかっと飛ばしたもんなぁ。
魔性の馬は品よくまとめられていた。悪者は去り、善人がめでたしめでたしで終わるストーリーなんだけど、鼻持ちならない臭さというのが皆無。
意外性で旨くまとめられたせいだろうか。
英国の田舎地主の生活を綴る…「働かなきゃ生きてゆけない英国貴族や地主たち」という題でも付きそうな、財政とか生活に匂いをひしひしと感じさせる生活描写が面白かった。
そっかー年金って、あんなふうにもらうんだ。
すべて家長が増減を決めるのね。弁護士なんかと相談して。
娘なら結婚するまで多めにあげとこうとか、次男以下の息子たちはさっさとっ出てゆけといわんばかりの態度とか。
それに、引退した馬屋番とかばあやとかに死ぬまで年金を払うのも家長の役目だったとは。
(年をとったら、さよならしてそれまでか、と思っていたのだ)
今は国家がするけどね。
日本の江戸時代、大名屋敷で女中をしていて途中で辞めたからって誰が年金なんかくれただろう。
主人公たちが参加する馬の競技を読んでいて、「ロリィの青春」なんぞを思い出してしまった。
あれも大ドラマだったなぁ…
そして、レンタル本のラストはこれ。
現・南フランスでの異端戦争を描いた一作。
次々とフランスの中世史を描いて名前を売った、佐藤賢一氏の著作である。
オクシタニアというのが、今の南フランスのことで、トゥールーズとかアルルとかいう地名を言えばたいていの人は耳にしたことがあるだろう。
アルビニョン十字軍…世界史の知識の隅っこのほうに…あった、あった。
キリスト教徒が異端のキリスト教徒を殲滅し略奪し虐殺したことで有名。
まぁ、十字軍なんて名前がつくと、ろくなことはない。
この十字軍も、
「異教徒かどうかは外見では分からないから、すべて殺しつくせ」
などと聖職者が言うのである。
「敬虔なカソリック教徒であれば、神が"天国の門"を開けて迎えてくれるだろう」
(だから殺してもかまわん)
などという、乱暴な叱咤激励で、同胞のキリスト教徒を殺しまくったというんだから…怖いですねぇ。
勿論、貧しい兵士や傭兵にとっては金持ちの市民から合法的に金を略奪するいい言い訳であり贖罪になるわけだ。
殺したって"十字軍"なのだから、神様が天国に迎えてくれるというわけ。
十字軍といえば、アフガニスタン問題からイラク戦争へと飛び火した頃、「イスラム側からみた十字軍」とかその手の本が店頭をにぎわせていた。
結局アラブから見れば、立派な「侵略」だもんな。
南フランスは…異端っぽかったのか?
「アンジェリーク」の夫であるペイラック伯爵も異端の冤罪をかけられたりしていたし、幼少期に領地(トゥールーズ)で宗教がらみの暴動が起きてそれが原因で足を悪くしたんじゃなかったっけ?
こういう歴史物語を読んでいると、現在見るように大国であるが故、豊かな土地柄であるが故、フランスという国は陣痛が随分酷かったのだなと思わざるを得ない。
現在も、必ずしもひとつにまとまっていないということは、やれ「ブルターニュの独立運動だ」の「バスク独立派」だのきな臭いニュースが時折流れることを思い出すだけで分かる。
よくあれをひとつにまとめたもんだ。
魔性の馬は品よくまとめられていた。悪者は去り、善人がめでたしめでたしで終わるストーリーなんだけど、鼻持ちならない臭さというのが皆無。
意外性で旨くまとめられたせいだろうか。
英国の田舎地主の生活を綴る…「働かなきゃ生きてゆけない英国貴族や地主たち」という題でも付きそうな、財政とか生活に匂いをひしひしと感じさせる生活描写が面白かった。
そっかー年金って、あんなふうにもらうんだ。
すべて家長が増減を決めるのね。弁護士なんかと相談して。
娘なら結婚するまで多めにあげとこうとか、次男以下の息子たちはさっさとっ出てゆけといわんばかりの態度とか。
それに、引退した馬屋番とかばあやとかに死ぬまで年金を払うのも家長の役目だったとは。
(年をとったら、さよならしてそれまでか、と思っていたのだ)
今は国家がするけどね。
日本の江戸時代、大名屋敷で女中をしていて途中で辞めたからって誰が年金なんかくれただろう。
主人公たちが参加する馬の競技を読んでいて、「ロリィの青春」なんぞを思い出してしまった。
あれも大ドラマだったなぁ…
そして、レンタル本のラストはこれ。
現・南フランスでの異端戦争を描いた一作。
次々とフランスの中世史を描いて名前を売った、佐藤賢一氏の著作である。
オクシタニアというのが、今の南フランスのことで、トゥールーズとかアルルとかいう地名を言えばたいていの人は耳にしたことがあるだろう。
アルビニョン十字軍…世界史の知識の隅っこのほうに…あった、あった。
キリスト教徒が異端のキリスト教徒を殲滅し略奪し虐殺したことで有名。
まぁ、十字軍なんて名前がつくと、ろくなことはない。
この十字軍も、
「異教徒かどうかは外見では分からないから、すべて殺しつくせ」
などと聖職者が言うのである。
「敬虔なカソリック教徒であれば、神が"天国の門"を開けて迎えてくれるだろう」
(だから殺してもかまわん)
などという、乱暴な叱咤激励で、同胞のキリスト教徒を殺しまくったというんだから…怖いですねぇ。
勿論、貧しい兵士や傭兵にとっては金持ちの市民から合法的に金を略奪するいい言い訳であり贖罪になるわけだ。
殺したって"十字軍"なのだから、神様が天国に迎えてくれるというわけ。
十字軍といえば、アフガニスタン問題からイラク戦争へと飛び火した頃、「イスラム側からみた十字軍」とかその手の本が店頭をにぎわせていた。
結局アラブから見れば、立派な「侵略」だもんな。
南フランスは…異端っぽかったのか?
「アンジェリーク」の夫であるペイラック伯爵も異端の冤罪をかけられたりしていたし、幼少期に領地(トゥールーズ)で宗教がらみの暴動が起きてそれが原因で足を悪くしたんじゃなかったっけ?
こういう歴史物語を読んでいると、現在見るように大国であるが故、豊かな土地柄であるが故、フランスという国は陣痛が随分酷かったのだなと思わざるを得ない。
現在も、必ずしもひとつにまとまっていないということは、やれ「ブルターニュの独立運動だ」の「バスク独立派」だのきな臭いニュースが時折流れることを思い出すだけで分かる。
よくあれをひとつにまとめたもんだ。
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