身内からレンタルする。読むものがなくなってきたのを見かねて貸してくれたらしい…
しかしこちらはといえば、恩義も忘れて、いつの間にかこんなのを読んでいるのか、ふうぅぅ〜ん、とちょっと思ったりしている。

作者の桐生操氏は、この手の「悪女」?ものが多い用に思える。
嘗ての永井路子を思い出す。時代と舞台で共通項を探すとイタリア在住の塩野七生か。
まあいいけど。

王妃マルゴ…
は、1997年にフランス映画で見た。日本に来たもののマイナーな映画館でほんの少しの間だけ上映されただけだった。
私は、これを、酔狂にも見ているのだ。
(そういやこの映画も身内に誘われていったんだっけか。なんだ、以前からそういう趣味だったのか。)

無茶苦茶コワイ映画だった。
どうコワイかといえば、精神的に怖いのだ。
血が飛びまくる。
…まあ、バイオレンスなら珍しくもない。
でも、嘘丸出しの、大げさな流血シーンではなく、「あ、本当に人が血を流している!」と思わせるような、妙にリアリティのあるシーンだったのだ。
そして、今の常識では考えられない家族関係。
近親憎悪どころか近親相姦が当たり前…?!
裏切り、殺し、どうしてそこまでやれるのか、信じられない。
良心どころか心すらないんじゃないか、感情がないんじゃないかと思ってしまうほどだった。

この映画に出てくる歴史上の人物で一番怖いのはマルゴの生母、カトリーヌ・ド・メディシスである。
あのメディチ家の出身…といえば、まあなんとなく想像はつくと思うけど、政治は好きだし陰謀も好きだし、他人ばかりか自分の子供まで次々殺すし…こわい。本当にこわい。
毒殺されかかった王様が、『血を吐きながら』みなの前に出て来て、いいたいことを言ったと思ったら、どさー!!といきなり昏倒するのだ。
こんな現場にいたら、何もできずに固まるしかない。(映画でも周囲はフリーズしていたが)
やめてよ、もう〜と何度画面を見ながら呟いたことか。

つまり…そのマルゴの人生を描いた小説なのだ。
中々したたかな女性に描けているが、先に見た映画のインパクトが強すぎて、おかーちゃん(カトリーヌ)もマルゴもまだまだ迫力不足に思えてしまうのが難である。

映画鑑賞の翌年にフランスへ行き、カトリーヌやマルゴのすごしたお城を訪れているので余計に感慨深いのかもしれない。

もっとも、あっちもこっちも血まみれで、霊感が強かったら何か見そうなところばかりであるので、そういう意味で印象深かったのかも知れないが。

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