〜千年の事件簿から〜

ふ〜ん、さすが、中国。事件簿も千年分有るわけだ、などと馬鹿にしてはいけない。

大体ミステリー(探偵小説)という分野は、近代になって確立したものだからして、洋の東西を問わず、千年前にそんなものがある、というのはとんでもない、ゆゆしき事なのである。

とはいえ、偵探小説(中国では探偵小説をこういう)に比されるそれは、名判官(裁判官)による難事件解決を物語風に語り留めたものであるが。
その始まりの時代はと言えば、六朝時代(みんなが好きな三国志の後:5〜6世紀ごろ)から始まり、明末清初(17世紀)には隆盛を極めたと言う。
おまけに物語風だから、窮地に陥れば、幽霊は証人として出てくるわ、神様のお告げは有るわ、現代ミステリーが禁じ手としているワザが次々出てくると言うシロモノ。

…まあ、民衆の求めるものが科学を超えた正義であり、腐敗した社会に対するウサ晴らしであったのだから、明朗会計…もとえ、明瞭なる勧善懲悪ってことでこれは仕方がないことかも。

コレが清末になると、単なる名裁判官ものだけにとどまらず、主役は名裁判官ではなく、その周囲にいる男達…武侠になるわけだ。
今、映画で流行の武侠ですね。(「北宋風雲伝」という漫画でも北宋の名裁判官・包拯や武侠・展昭を扱っている)

娯楽はここに窮まれり。

ただし、こういう小説になじんでいた中国民衆は、なんと日本よりも先んじて「シャーロック・ホームズ」だの「怪盗ルパン」だのを翻訳(全訳)してヒットを飛ばしていたと言うのだから凄い。
受け入れる下地はしっかりできていたのだ。
日本と違って…。

なんてことを置いといて、有名な「事件簿」をひとつづつ取り上げて一話完結で読み進むこの本は面白すぎて一気読みしてしまった。
しばらくぶりに面白い本に出会ったなぁ、と心から思う。

う〜ん。明智君の負け。

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