切り抜き(宮城谷本)は自宅読書用なので、とりあえず持ち運びようにこの本を選ぶ。
随分昔に買った本であるが、その後何度も読み返している、なかなか含蓄のある本だ。

登場人物は、

竹林の七賢から阮籍(げんせき)と王戎(おうじゅう)
孔子の子孫である孔融(こうゆう)
神仙を追及した葛洪(かっこう)
詩人 王翰(おうかん)と杜牧(とぼく)
そして陶弘景(とうこうけい)に万宝常(まんぽうじょう)

この、「癖」というには激しすぎる個性のある8人の事跡について書かれた作品である。

この手の歴史紹介本は良くある。
だがこの本は、良くある本たちとは明らかに違う。

当たり前だが著者は学者ではない。
小説家であるので、8人の事跡を描くのも小説仕立てである。
そして筆を執るのが陳舜臣氏だと言うのだから、面白くないはずがない。

面白い。

この8人すべてが、決して幸福な人生を送るわけではない。
いや逆に、このうちの多くが政争と戦乱と家庭の不幸とで泣き、喚きして人生を過ごしていった人間たちである。
竹林の七賢のように世を捨て百姓(人民)を捨て、夢の中に逃げ込もうとも、孔融のようにその口で栄華と死を招こうとも、単純にただ生きた人間は誰一人としていないのだ。

歴史とは、過去の中に自分の未来を見るものだが、この8人はそういう意味ではち〜っとも参考にならん!

まさしく畸人の境地に達するにはまだまだ人生経験が足らないと痛感するのだった。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索